南アフリカ在住のきたむ(wakajps)です。
南アフリカ共和国は、複数の民族で成り立つ国家であり、私の活動拠点となっているクワズールーナタール州は古くからズールー族(ズールー人)が暮らしている地域です。
日本にいる家族からズールー族がテレビに出てると写真が送られてきた。テレビで見たことはないけど今隣にいます。 pic.twitter.com/yHJ8G7YfZF
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) November 7, 2017
あたかも普通のように「ズールー族と一緒にはたらいています!」などと言っていますが、昨年までは、今こんな状況になっているとは思いませんでしたし、「マサイ族」やら「なんちゃら族」は、テレビで見るような自分とは関係のない違う世界の話よね、という感覚でした。
本記事では、日本の人々にあまり知られていない、そんなズールーの人々の言語や文化、祭事にを紹介していきたいと思います。
ズールー族の王様の家に連行されてるなうなのですが、ドキドキがとまらない。 pic.twitter.com/0eMoEPruwC
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) January 14, 2018
南アフリカ南東部を拠点とする『ズールー族(ズールー人)』とは

ズールー族の起源
ズールー族は、ズールー・マランデラからはじまったズールーナタール北部の一族である。
もともとズールー族は、中央アフリカと東アフリカに居住し、その後数世紀前に起こった「バンツ一族」の南アフリカに移住したヌグニ族から発祥。ズールー族は、南アフリカで最大の民族集団である。
ヌグニ語では、ズールーという言葉は『天国』または『空』を意味する。当時、この地域はヌグニ族のコミュニティや一族によって占有されていた。
9世紀にベトナム移民が南アフリカに到着したため、ヌグニのコミュニティはアフリカの東海岸に沿って移り住んできた。
ズールー王国の成り立ち
ズールー族は、1818年にそのリーダーであるシャカ・ズールーの下で強力な州を形成した。
ズールー王のシャカは大きな力を手に入れ、かつて部族の連合であった者たちをズールー覇権のもとにおさめ、堂々たる帝国に統一した。
イギリス(英国軍)との抗争
イギリスとの戦争が1879年に勃発。戦争中、ズールー軍は、Isandlwanaの戦いで銃などの近代兵器を持つ英国軍を敗北させた。
なんと、ズールー軍は伝統的な「盾」と「槍」だけで、一度英国軍を打ち負かしたのである。その後、イギリス軍はウルンディの戦いでズールーとの戦いに勝利した。
この戦いの様子は、『ズールー戦争』というタイトルで映画化されており、一部の映像を下のYouTubeから観ることができます。
それしても銃を持つ相手に恐れず立ち向かっていくズールー族、勇敢すぎます!
自分が同じような状況だったら、堪らず逃げ出してしまいそう。
ズールー族の伝統的な戦い方は、槍。槍の長さによって接近戦、遠距離戦で使い分けられ、シャカ・ズールーの軍事改革で開発されたアッセガイ(やり投げ)は、遠方攻撃として使用された。獲物から槍を抜き取った時の音から、イクスワ、イクスルとも呼ばれる。映像では、吊り下げた牛の皮を狙ってます。 pic.twitter.com/ttjjJp9jDe
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) February 12, 2018
ズールー族とイギリス軍の対決は映画化されています。少し古い映画ですが、ズールー族ファンにとって見ごたえある作品です。
ズールー王国のリーダー『シャカ・ズールー』はこんな人!
- 仲間を殺された復讐として、殺した犯人の母を家に閉じ込めて、ついでにジャッカルとハイエナも一緒に入れた。翌日、そのまま家を全焼させた。
- 勢力拡大させていこうぜ! ⇒ ライバル民族に勝利 ⇒ 敵の残党を仲間に入れる ⇒ より強大な勢力に
- 正面から戦うんじゃなくて回り込んで戦った方が勝てるんじゃね? ⇒ 包囲戦術の確立
- ヨーロッパ人?たまになら来てもいいよ。⇒ 技術力・知識を見せてみてよ ⇒ ズールーの方が優れてるじゃん!
- 兄弟に暗殺される。
ズールー族の母語は”クリックサウンド”で発音する「ズールー語」

ズールー語は、公用語である南アフリカで最も広く話されている言語。
南アフリカの人口の半数以上が第1言語で9百万人以上、第2言語で1500万人以上の人がそれを理解することができる。
ズールー族の多くの人々は、南アフリカの11の公用語の中から、アフリカーンス語、英語、ポルトガル語、ツォンガ語、ソト語などを話す。
アパルトヘイト時代等の含めて年代によって、話せる言語が異なることを同僚から聞きました。
中国系の企業が南アフリカに進出してきたときに、中国語(マンダリン)の言語教育もおこなわれていたため、年配の同僚でマンダリンを話せる方々もいます。
クリックサウンドとは、舌打ちのような音で『チッ』『ポコンッ』などいくつか音の種類があり意味もそれぞれ異なります。

驚愕せよ!これが、アフリカ南部最大勢力ズールー文化だ!

ズールー式ハント(狩り)
伝統的にズールーの人々は、主に牛の飼い主や農家であったが、衣類や道具のために動物の皮を、糸のための腱を、貿易のための象牙や魔法のための器官を使って野生の食糧を狩り集めた。
歴史的には、猟犬は軍隊のように扱われ、槍や盾、ライオンとゾウを狩りし、柵で捕えらえていた。狩りの後、ズールーの人々はライオンとゾウの心と目を食べた。 これらを食べれば、恐怖や絶望を克服するのに役立つと信じられていた。
男性は象牙を得るために象の狩りを、女性たちは農場で働き家事。
経済活動がうまくまわるように生活が設計され。近隣のモザンビークで暮らすポルトガル人とも貿易を行っていたそうです。
ズールー族の伝統的な衣装
儀式や文化的なお祝いのための伝統的なものと、日常的な使用のための現代的な洋服化されたものの両方を着用している。
女性は独身か、婚約しているか、結婚しているかによって、服装が異なる。男性用の衣装は皮のベルトを身に着け、前と後ろに垂れ下がっている2本の皮がついている。
ズールー族伝統のビーズアクセサリー。村人たちはマイクロファイナンスを利用してスモールビジネスの一つとして制作。作られたアクセサリーは、近くの都市のお土産さんに並べられていく。実にカラフル。 pic.twitter.com/Ezz9F1gfdy
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) August 25, 2018
牛がキーポイント!?ズールー族の結婚事情

伝統的にズールー族の女性たちは大人になるための訓練を受けた。訓練の後、女の子は自由に自分のパートナーを選ぶことができた。
女性たちは、カラフルなビーズを使用して、また求愛のために男の子に手紙を書いた。 ズールー族は、数日にわたって結婚式をおこなっていた。結婚式では、特に牛を屠殺していた。
結婚する場合、男性は結婚する女性の親に11頭の牛(または相当のお金)を差し出さなければなりません。この文化は今でも残っています。
牛の値段は、一頭につき8,000ランドから10,000ランド(日本円で約65,000円~85,000円)。
金額は牛のサイズ、性別によって変わります。が、決して安くはないですね。。
ソト族の若手がズールー族の娘を妊娠させてしまったことが原因の部族間のシリアスな話し合いに同席してるなう。議題の中心はどうやって落とし前をつけるかで、お金、または牛11頭を差し出すかのネゴシエーション。意見を求められたので「牛はうまくやればお金になると思う」と答えた。
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) August 26, 2017

ズールー族の祭事(処女ダンスとも揶揄されるリードダンス)

ズールー族の祭事の一つ、リードダンス。
『ズールー族の処女たちが集められ伝統的な衣装で踊る』というもの。
ズールー文化では、一夫多妻制が根付いており、王が新たな妻を選ぶために行われていました。
2018年9月追記
リードダンスにいってきました!その様子を写真つきでレポートしています!

ズールーの文化や伝統を体験できる観光スポット、その1

今や普段の生活の中で、その伝統的な衣装をまとったひとたちを見ることは難しいですが、ズールー族の文化やダンスを体験できるスポットがあります!
「アフリカ民族の文化を体験したい!」「少し変わった観光をしてみたい!」「ズールー族だいすき!」という方に、おすすめの観光スポットです!
詳しくは以下の記事で紹介しています。

ズールーの文化や伝統を体験できる観光スポット、その2

ここではズールー族の戦い方「槍投げ」「スティックファイティング」を体験できます!
ズールー族の伝統的な造りの家に泊まることもできちゃいます。
ズールー族が得意とするスティックファイティングで勝負を挑んでみたけど5秒で負けたときの写真。 pic.twitter.com/d0zT1gRYSO
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) January 15, 2018
ズールー族の戦い方は「槍を投げる」。
7本投げてそのうち1本でもターゲットに当たればいい方だそう。ズールー族曰く「とても効率が悪く、敵に武器を取られるのがデメリット」 pic.twitter.com/FAXi31RGkC
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) January 15, 2018
ズールー族の王様の家で歓迎されているのですが、端の方で妙な楽器を鳴らしている人が気になってしょうがない。 pic.twitter.com/UJ5WRVTq5X
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) January 14, 2018
ズールーファンには堪らないこの施設!以下の記事で紹介しています。

さいごに

ズールーの人々の言語や文化、祭事について、本記事にまとめました。
調べていく中や同僚にヒアリングをして思ったのは、『ズールー族の人々は自分たちの歴史や文化に高く誇りを持っているということ』。
そして、銃などを持った英国軍に一度は打ち勝ったというエピソードが印象的でした。めちゃくちゃ強すぎる。
記事タイトルにもしましたが、ズールー族はもう世界最強民族でいいんだと思う。
ズールーの人たちと一緒に仕事をしていて困っているのは名前を呼べない人がいること。名前にc, x, qがはいっているとクリックサウンドの発音になって、日本人にとってはこの発音がむずかしい。基本的にはイングリッシュネームで呼んでいるけど、本当は実際の名前で呼びたい。君の名は。
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) June 26, 2018
