南アフリカ共和国在住のきたむ(wakajps)です。
ワールドカップラグビーなどを観戦して、「あれ、南アフリカは白人が多い?」と思った方は多いのでは。
アフリカ、と聞くと黒人のひとをイメージしがちですが、実は、南アフリカは、アフリカ大陸の中で最も白人の割合が多い国として知られています。
アパルトヘイト時代があった背景がありますが、現在の南アフリカの人口の9.2%を白人が占めています。
『なぜこんなに白人が多いのか?』は、南アフリカおよび、アパルトヘイト(人種隔離政策)の歴史を調べてみるとわかります。
ケープタウンやプレトリアの大都市に旅行、滞在したことがある方は気づいたかもしれませんが、大都市で見かける人の多くは白人。
建物や通りの街並みからも、「あれ?ここはヨーロッパか?」と思うような雰囲気が漂っています。
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一見華やかそうに見える白人たちの生活、白人=富裕層というイメージが強いですが、南アフリカでは住む地域によって生活環境が大きく異なります。
この記事では、南アフリカのピーターマリッツバーグという中都市に焦点を当てて、現在の白人たちの生活の現状を考察してみたいと思います。
南アフリカ共和国の人種構成(人種別人口)の割合は?

南アフリカ共和国の総人口は、約5,700万人(2018年)。
南アフリカ共和国の人口は、黒人、白人、インド系、インディアン、アジア系、その他の人種で構成されています。
南アフリカ共和国の人種別の人口割合は、以下のとおりです。
黒人 | 79.4% |
---|---|
白人 | 9.2% |
カラード | 8.8% |
インディアン/アジア系 | 2.6% |
8割占める黒人が圧倒的に多いですが、次いで白人の9.2%。
9.2%という数字だけ見ると少ないように見えますが、『500万人以上の白人が南アフリカで暮らしている』という計算です。
ちなみに、体感で白人比率が高いと感じたケープタウン市の人口割合は15.7%。総人口の割と比較とすると白人の割合が高いことがわかります。
ケープタウンはアパルトヘイト時代の名残(人種別居住区)が強く残っている場所のひとつ。
観光客が訪れるような場所では、この数字以上に白人の割合が多いな、と感じます。(観光客として来ている白人も多いと思いますが….)
ちなみに、隣国ナミビアはかつて南アフリカの国の一部でした。同じように比較的白人の割合が多い国です。
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ピーターマリッツバーグ(中都市)の白人の割合

ピーターマリッツバーグという街はクワズールナタール州の州都で、大都市のダーバンの近くに位置しています。
南アフリカの中では、中都市として位置づけられています。ピーターマリッツバーグは、現在、私が暮らしている街でもあります。
ピーターマリッツバーグの人種別の人口割合(2011年)は、以下のとおりです。
黒人 | 70.0% |
---|---|
白人 | 14.2% |
インディアン/アジア系 | 8.4% |
カラード | 6.9% |
その他 | 0.5% |
ケープタウンの15.7%には及びませんが、南アフリカ全体の9.2%と比べると、ピーターマリッツバーグに住む白人の割合は比較的多いことがわかります。
ピーターマリッツバーグ(中都市)の白人の暮らしの現状は?

私はピーターマリッツバーグの中心部で暮らしています。ただ近所に住む白人はひとりもいません。白人の多くは郊外の”丘の上”に住んでいます。
私が職場と家を往復する生活の中で見かける白人たちは、街に出歩いておらずほぼ車の中で運転している姿を見かけるだけです。夕方になると近所のマクドナルドやピザ屋にたむろっている白人たちを様子を見かけることがあります。
私はこのマクドナルドを頻繁に利用しているのですが、カウンターの向こう側の店員は100%黒人。
白人も従業員として働いていますが、白人は外で駐車場の整理をおこなう係としてはたらいています。
カウンターとして働いた方が賃金が良いのは見て分かる通りで、駐車場の整理として働く彼らは、たまにもらえる少額のチップで生計を立てています。
白人がオーナーで、黒人がその下で仕えている、といった印象が強いですが、必ずしもその構図だけではなく、貧困と向き合っている白人もいる、というのが南アフリカの現状といえると思います。
中都市だとマクドナルドの店員でも黒人がカウンターで接客、白人は駐車場で車の整理(チップ制)、のように見てすぐにわかるほど、白人>黒人というヒエラルキーは崩れている。ヒエラルキーそのものがもうないともいえるのかも。差別的なものではなくて、社会的な動きがそうさせているようにみえる。
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) July 19, 2018
中都市だとマクドナルドの店員でも黒人がカウンターで接客、白人は駐車場で車の整理(チップ制)、のように見てすぐにわかるほど、白人>黒人というヒエラルキーは崩れている。ヒエラルキーそのものがもうないともいえるのかも。差別的なものではなくて、社会的な動きがそうさせているようにみえる。
ピーターマリッツバーグ(中都市)にいる黒人・白人のホームレス

通りを歩いていると、ホームレスから、『昼飯を買うお金をくれ、10ランドでいい』と声をかけられることがあります。
路上で物乞いを見かけることが多く、そのほとんどは黒人。そして、一部、白人もいます。体感としては、ホームレスのうち約10%が白人。
先ほどの黒人70%、白人14.2%という人口割合からみると、このうちの物乞いの割合は、ほぼ同等といえるかもしれません。
きっと日本人からみてもイメージしにくい人が多いと思いますが、南アフリカでは、他の国から見た固定概念のようなものはあまり通用しません。
南アフリカ国内だけでもその差は地域、年代、出身(イギリス系、オランダ系)等によってわかれます。
政府の制度・措置によって南アフリカの白人は生活しにくくなってきている?

人種間の教育・就労の機会が平等になるようにと施行されている政府のブラックエンパワメント政策(黒人優遇措置)。
これにより、南アフリカでは黒人の社会進出の機会が促されています。
南アフリカ人の白人=裕福というイメージが強いけれど、郊外のほうだと、物乞いや駐車場整理は黒人の比率以上に多い。ここ二年でみても確実に増えてる。じわりじわりBEE政策が効き始めてるのかもしれない。
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) 2019年9月5日
南アフリカ人の白人=裕福というイメージが強いけれど、郊外のほうだと、物乞いや駐車場整理は黒人の比率以上に多い。ここ二年でみても確実に増えてる。じわりじわりBEE政策が効き始めてるのかもしれない。
最近では、ラマポーザ南ア大統領が「白人が所有している土地を再分配する」とコメントを残しています。
黒人が優遇されていると捉えることもできる政策がとられています。こういった政策が”人種差別である”と考える白人も少なくありません。
今後さら黒人が優遇される政策がとられていくのか、そうではないのか、今後どのような方針で南アフリカが動いていくのか。南アフリカの制度や措置を知っていくほど、”国全体として動いている最中”であることを感じとるができます。
海外のメディアでも、注目を浴びることが増えてきた南アフリカの白人たち。
南アフリカには白人のホームレスがいる。
白人の農家が殺害されている。
などと取り上げられ、最近では南アフリカの白人をめぐるニュースが大きな反響を呼んでいます。
物乞いのかたはいるなぁ….と思っていたけど、白人のタウンシップがあることを知った。記事は少し古いけど、シェアとコメントの数がすごい。
The ‘white squatter camps’ of South Africa https://t.co/92ePNV3Mo5 via @MailOnline
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) March 3, 2018
今回の記事では白人にスポットをあてて、南アフリカの中都市に住む彼らの様子を取り上げました。
政府の動向だけではなく、私の周りの南アフリカ人の知り合い、友人たちがどう感じて生活しているのか。
このポイントを大事にして、引き続き南アフリカの現状や様子をブログを通して発信していきたいと思っています。
以上、きたむ(wakajps)でした。
南アフリカ人(白人)にヒアリングをしました

アパルトヘイト(人種隔離)政策が廃止されて23年。
南アフリカ人(白人)が「いまどう感じているのか」、仲の良い友人の声をもとに現在の思いを書き綴りました。
下の記事から読めます。

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