アフリカのマイクロファイナンスの視点からグラミン銀行の日本進出を考察

南アフリカのマイクロファイナンスの現場

\7月16日まで!/

きたむ(wakajps)です。マイクロファイナンスを主な事業とする、南アフリカの現地NGOで活動しています。

グラミン銀行が日本に進出する(共同通信)、というニュースが目につきました。

グラミン銀行が『グラミン日本』として、日本の貧困層向けにマイクロファイナンス(マイクロクレジット)が導入されるという内容です。

私のいる南アフリカ共和国では、既にグラミン銀行の手法をインスパイアした『マイクロファイナンス=小規模ローン=貧者の銀行』がおこなわれています。

日本でどのように進出し事業をおこなっていくかどうかは、まだ公表されていないようです。

グラミン銀行といえば、以下のポイントに重きを置いているので、日本でも同じような主旨で導入される可能性は高いといえると思います。

マイクロファイナンスの仕組み
  • 無担保とするかわりに、グループでの連帯責任制をとる
  • 定期的なミーティング(週1回など)
  • 就労支援を目的とした研修をおこなう

南アフリカ共和国でおこなわれている手法が必ずしも日本に導入されるものと同じになるかはわかりませんが、本記事では、南アフリカ共和国でおこなわれているグラミン銀行の手法に基づいたマイクロファイナンスについて、紹介していきたいと思います。

マイクロファイナンスを代表する組織「グラミン銀行」とは

バングラデシュにある銀行でマイクロファイナンス機関。「グラミン」という言葉は「村(gram)」という単語に由来する。本部はバングラデシュの首都ダッカ。ムハマド・ユヌスが1983年に創設した。マイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象にした比較的低金利の無担保融資を主に農村部で行っている。銀行を主体として、インフラ・通信・エネルギーなど、多分野で「グラミン・ファミリー」と呼ばれるソーシャル・ビジネスを展開している。2006年ムハマド・ユヌスと共にノーベル平和賞を受賞した。

引用:Wikipedia「グラミン銀行」

きたむ
きたむ
対象となる貸し手が、『主に村に住む貧しい女性』ということもポイントですね。

そもそもマイクロファイナンス/マイクロクレジットとは?

他の金融と比較して、マイクロファイナンスの特徴として、貧困緩和と事業収益の両方を追求していることが挙げられる。
一般の銀行は、担保や客観的な信頼がある富裕層のみに貸付を行っている。貧しい人びとは、自分の仕事に必要な少しのお金を得るために、法外な金利にもかかわらず非合法な高利貸しを頼ることしかできない状況であった。貧困者にお金を貸すことで、彼らの自立をサポートし、貧困の削減という社会的課題の解決に貢献できる。

たとえば、グラミン銀行では、銀行員が毎週集会を開き、お金の使い道や返済の計画について個別にアドバイスを行なう。こうした取り組みによって、貧しい人びとは、具体的な方法を知り、借りたお金を元に、家畜の飼育や竹細工の制作、食料品の販売などを営むことができる。そのように自らの手で生活の水準を上げていくことで返済が可能になり、貧しい人たちも信頼できる借り手となっていく。グラミン銀行の返済率は、実に98%に達している。
「融資→返済→融資→返済…」というサイクルを通じて、事業の持続可能性という経済的課題をクリアしていることも、もう1つの特徴である。

引用:Wikipadia「マイクロファイナンス」

きたむ
きたむ
日本でいえば、銀行で融資が受けられず、消費者金融を利用している方が対象として当てはまってくるかもしれません。日本国民の9人に1人が消費者金融を利用しているといったデータもあります。

南アフリカ共和国で導入されているマイクロファイナンスの仕組み

南アフリカ共和国で導入されているマイクロファイナンスの仕組みを紹介します。

なお、このマイクロファイナンスの仕組みはグラミン銀行の手法をインスパイアし、主に「貧困からの脱却」「自立支援」を目的として実践されています。

マイクロファイナンスの全体的な流れ

基本的には、一般的な融資と同じように『審査~承認~ローンの開始』となります。

特徴的な点は、以下の4点です。

  • 顧客(クライアント)をセンター化すること
  • センターミーティングをおこなう
  • スキルを手に入れるための研修をおこなう
  • 貯蓄の文化を構築する
南アフリカの田舎で銀行口座の開設
アフリカ人は銀行口座を持たない?村人が口座を開設する場に立ち会った青年海外協力隊として南アフリカ共和国で活動している、きたむです。 私が配属されているNGOでは、事業のひとつとして、 マイクロファイナンス (マイクロクレジット)をおこなっています。 マイクロファイナンスはグラミンバンクを模倣しておこなっているのですが、簡単にいえば、以下のような特徴を持っています。...

顧客(クライアント)の獲得から、お金の貸付のフロー

 項目  目的
クライアントが発生する可能性のある地域を特定する 対象となる人口、インフラストラクチャ、環境要因に基づいて潜在的なコミュニティターゲッティングを確認する。
コミュニティ識別 – 潜在的センターエリア(PCA:Potential Center Area) 業務の実現可能性を理解し、推奨する。
利害関係者とのミーティング ・マイクロファイナンス事業の仕組み説明

・地方自治体レベルまでの主要な利害関係者との関係を構築する。

コミュニティーミーティング ・組織のビジョン、ミッション、戦略目標を共有する。
・貸出方法を説明する
ターゲティング ・必要なクライアントを選択する

・家計間の社会経済格差を理解する

センターの形成 ・センターを貸出を受けるための1グループである認識
センター形成の条件 ・最低10人から最大25人で形成される
・すべてのセンターメンバーは同じ村の住民である必要性・センターメンバーは互いの貸付債務について集団的責任を取るのに十分なほど互いを知り、信頼しなければならない
・センターメンバーは、融資期間中は村内に留まらなければならない。センターミーティングには必ず出席しなければならない。
・同じセンターには親戚がいてはならない。
・センターメンバーは2年以上、その村に住んでいなければならない
・センターメンバーは、センターミーティング会場から2km以内に住む必要があります
クライアントを対象としたオリエンテーション ・クライアントに基本的な金融リテラシーと企業開発原則を紹介する
・クライアントに貸与プログラムの規則と規則の説明
・すべてのクライアントが5日間の研修に参加する
・最終的なセンター評価(融資の可否)は、最終的なコンタクトセッションの翌週に行われる
・すべてのクライアントは出席簿をつけなければならない
センターの最終評価  ・クライアント対してランダムな質問をし、すべての方針と手順の理解度をテストする
・ローンプロセスの理解の弱点を特定し、ギャップを埋める
センターミーティングの実施 ・ローンは個人単位ではなく、1センターが最小単位として承認される
・返済と貯蓄の証憑書類を収集する
・継続的なミーティングを通して、その際に、クライアントと融資プロセスを再確認する
・地域開発の問題を議論し、クライアントを他の開発リソースや利用可能な情報にリンクさせる。
返済 ・センターミーティングの一週間前までに返済されていなければならない。

・センターミーティングでの返済は認められない。

・センターミーティングで返済(入金)の証憑書類を提出する

クライアントの集合体である”センター”とは

センターは、センターの全員が義務を履行し、クライアントの集合体を指し、上記にあげたプロセスは、基本的にクライアント個人単位でおこなわるわけではなく、センター単位でおこなわれていきます。

センターメンバーは、自らが自立するための計画を立て、生計を向上させる能力を開発していきます。

センターの果たす役割とは

  • センターは、一種の”保障=担保”として機能する
  • センター内の仲間へのサポート、規則や手続きの遵守のためのプレッシャーをかけることに役立つ
  • 100%の返済率を奨励するため
  • メンバー感で動機付けがおこなわれるようにする。適切におこなわれない場合、延滞顧客を引き起こす可能性がある
  • センターのリーダーを決め、センターに関わる全ての活動を促進する

きたむ
きたむ
簡単にいえば、「センター内のメンバーで自立に向けて協力しつつも、何かあったときには連帯責任が付きまとう」ことになります。

センターミーティングとは

センターミーティングの様子

 

  • センターの円滑化方法をクライアントに訓練するために行われます。
  • センターのリーダーと副リーダーを選出する
  • センターのリーダーと副リーダーは、すべてのクライアントの中から選任される
  • センターのリーダーは、センターミーティングのファシリテート、研修を中心となっておこなう。
  • 月の第二週目、三週目に実施される
  • センターミーティングの開催には少なくとも85%の出席が必要
  • 85%に満たない場合は、翌日に延期される

 

センターミーティングでおこなわれること

  • 出席簿への記入
  • 前回の議事録の確認
  • 返済の証憑書類の提出
  • 新たなローンの申し込み
  • ビジネススキルに関する研修
  • 罰金の収集等

 

センターミーティングでおこなわれる研修とは

例:アニマルビヘイバー(Animal Behavior)

馬、亀、鳥、ウサギ、象、キリンの絵を用意し、クライアントの一人に見せる。そのクライアントは、与えられたテーマの動物について、他のクライアントの前でそれを表現し、わかるように説明する。他のクライアントは、発表しているクライアントが何を表現しているかをあてる。

正解したクライアントから、その動物のポジティブな面、ネガティブな面をヒアリングし、書き出していく。書き出した内容をまとめて発表する。

目的は次のとおり。

  • リスク認識、リスク評価、リスクへの対応などの効果が期待される。
  • センター内のすべてのメンバーが協力し合い、彼らの強みと弱みを認識して互いに補完する。
  • 指導者は、彼女のすべてのメンバーの性格やモノの捉え方を把握する
  • 各メンバーの強みを積極的に補完し、グループの結束に貢献させる

その他の研修

  • カバンの中身には何が入っている?
  • 6Ps(マーケティングミックス)
  • SWOT分析

など

マイクロファイナンスのフィールド調査
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マイクロファイナンスでの貸付のローンの規模

センターミーティングの様子②

 

融資可能な初期金額は、500南アランド(約4,200円)。

村の平均月給が平均1,000南アランドなので、日本の平均月給(20万円)に置き換えて考えてみると、この金額は10万円に相当します。

この金額でクライアントは所得創出活動をおこない、より大きなローンを手に入れ持続可能なビジネスに成長させていくことが期待されています。この成長は、クライアントの事業の成功や想像的かつ革新的な事業活動の多様化を実現する能力によって左右されます。

つまり、小さなビジネスを起こすための小規模ローンとして、初期融資金額が決められているのですね。

クライアントの貯蓄について

融資開始のはじめの4か月は、クライアントの貯蓄を確認していません。その後、組織として、ローンの金額の10%を貯蓄できるようにクライアントに促していき、その後の貯蓄を確認していきます。

更にそのあとは、ローンの申請金額が貯蓄金額を上回る必要があり、言い換えれば、ローンの規模が大きくになるについて十分な貯蓄をしておくことが必要になってきます。

きたむ
きたむ
貯蓄する文化を構築することも一つの目的となっているようです。

さいごに

以上、南アフリカ共和国で導入されているグラミン銀行の手法にのっとったマイクロファイナンスの仕組みについて紹介いたしました。

 

日本で導入される際は、所得額がアフリカとは異なるのでカスタマイズされる必要性はあるかと思いますが、冒頭にあげたグラミン銀行が重きを置く3点は、導入される可能性が高いのではと考察します。

マイクロファイナンスの仕組み
  • 無担保とするかわりに、グループでの連帯責任制をとる
  • 定期的なミーティング(週1回など)
  • 就労支援を目的とした研修をおこなう

一方で、日本で馴染ませるためには、以下が課題として挙げられると思います。

マイクロファイナンスの仕組み
  • センターメンバー内の関係構築(日本人の気質として人間関係が希薄になりやすい)
  • 消費者金融との折り合い
  • 連帯責任による精神的なプレッシャー

南アフリカ共和国では、ヨハネスブルグやケープタウンなどの大都市と地方における地域所得格差が社会問題として提起されており「失業率の高騰」として既に影響がでています。

日本でも同じように、都市と地方では所得に差がありますが、南アフリカ共和国ほど激しいものではありません。

「貧困層向けに生活の質の向上を促すグラミン銀行」が、日本進出向けにどのようにカスタマイズされ導入されていくのか、注目していきたいです。

きたむ(wakajps)でした。

【アフリカ】現地NGOで感じるマイクロファイナンスの問題点・課題とは?
【アフリカ】現地NGOで感じるマイクロファイナンスの問題点・課題とは?きたむ(wakajps)です。 南アフリカ共和国の現地NGOで活動しています。現地NGOの事業は、コミュニティ開発とマイクロファイ...
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