南アフリカにいます、きたむ(wakajps)です。
南アフリカ共和国にいて驚くことが多々ありますが、その一つが・・・
文化!!
ソト族の若手がズールー族の娘を妊娠させてしまったことが原因の部族間のシリアスな話し合いに同席してるなう。議題の中心はどうやって落とし前をつけるかで、お金、または牛11頭を差し出すかのネゴシエーション。意見を求められたので「牛はうまくやればお金になると思う」と答えた。
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) 2017年8月26日
南アフリカ共和国には、公用語が11種類ことあることからも多民族国家として知られています。公用語が一つしかない日本とは、この時点で大きくかけ離れていることがわかります。
南アフリカは、民族同士で母語や文化が異なるので、日本人の感覚で言うならば『部族の違いは、別の国との関係性』に近いです。
ズールー族の結婚手続きとは?
ズールー族は、南アフリカの最大勢力の民族で、クワズールナタール州を主な拠点としています。
ズールー族とは?
ズールー族は、ズールー・マランデラからはじまったズールーナタール北部の一族である。
もともとズールー族は、中央アフリカと東アフリカに居住し、その後数世紀前に起こった「バンツ一族」の南アフリカに移住したヌグニ族から発祥。ズールー族は、南アフリカで最大の民族集団である。
ヌグニ語では、ズールーという言葉は『天国』または『空』を意味する。当時、この地域はヌグニ族のコミュニティや一族によって占有されていた。
9世紀にベトナム移民が南アフリカに到着したため、ヌグニのコミュニティはアフリカの東海岸に沿って移り住んできた。
結婚する場合、男性は結婚する女性の親に11頭の牛を差し出さなければなりません。
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このあたりですでにもう日本とは感覚が異なりますね。笑
ただ、現代においては交渉(ネゴシエーション)によって、以下の二つのどちらかを新婦側の父に差し出すかを決めます。
- 牛を11頭を差し出す
- 上に相当する金額を差し出す
一頭の牛はおよそ8,000ランドから10,000ランド(日本円で約65,000円~85,000円)。金額は牛のサイズや、性別によって変わります。
全てはこのネゴシエーションで決まるので、新郎とその相手の父親にとって、とても大事な行事の一つと言えます。
交渉(ネゴシエーション)で話し合った内容とは?
ただ今回のケースはイレギュラーなケースでした。その理由は以下の二つ。
- 基本的に、同一の部族内で結婚がおこなわれるが、今回はソト族の男性とズールー族の女性。
- ズールー族の娘を妊娠させてしまっていたこと。
ソト族の男性とズールー族の女性
南アフリカという同じ国でも部族によって言語や文化が異なります。(言語の互換性があったり文化が似ていることはありますが。)
ソト族の母語はソト語で、ズールー族の母語はズールー語。伝統的な衣装や文化も異なりますが、どちらの部族も父が強く尊重される習慣があります。
そして、交渉の決定権は基本的に父親にあります。気難しい人が多いらしく、日本の昔ながらの頑固おやじに近いイメージかと。南アフリカの男性にとってこの交渉はさぞかし気が重いことでしょう…。
ズールー族の娘を妊娠させてしまっていたこと
上にも書いたとおり、ズールー族の父は頑固一徹なので、自分の可愛い娘を妊娠させたことについて良く思っていませんでした。
むしろ、『誠に遺憾である』であるというレベル。これによって交渉が難航しました。
交渉(ネゴシエーション)の場の雰囲気
父の家に関係者(ズールー娘の親族)が10人ほど集められ、それに対してソト族は新郎となる男性の一人と友人二人の計3人。
私は、私が普段活動する組織の同僚がその親族にあたっており、その同僚に誘われその交渉に同席したのでした。
誰も無駄口はしないシリアスな雰囲気の中で、交渉の主導権がある父親のもと、交渉が進められていきました。
そしてそんな状況でつぶやいたのがこのツイートです。
ソト族の若手がズールー族の娘を妊娠させてしまったことが原因の部族間のシリアスな話し合いに同席してるなう。議題の中心はどうやって落とし前をつけるかで、お金、または牛11頭を差し出すかのネゴシエーション。意見を求められたので「牛はうまくやればお金になると思う」と答えた。
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) 2017年8月26日
ソト族の若手がズールー族の娘を妊娠させてしまったことが原因の部族間のシリアスな話し合いに同席してるなう。議題の中心はどうやって落とし前をつけるかで、お金、または牛11頭を差し出すかのネゴシエーション。意見を求められたので「牛はうまくやればお金になると思う」と答えた。
交渉(ネゴシエーション)の結末は!?
『ズールー族の娘を妊娠させてしまっていたこと』により、遺憾の意を示した父。
そんな父から出された提示。それは、『牛を11頭を差し出す』ということ。
更に若い母牛(価値が高い)を数頭つけることが条件となりました。
男性が若く経済的な支払い能力がそこまで高くないことを鑑みて、比較的優しい判断としたようです。
さいごに
以上、「ソト族とズールー族の婚前の交渉の場に同席してみた話」でした。
まとめてみると、基本的には民族間ですることが暗黙の了解となっており、娘側の父が主導権を持つということ。今回のケースはソト族とズールー族の民族間を跨いだ交渉となりましたが、娘の民族であるズールー族の文化が適用されました。
そして婚前交渉の条件は、
- 牛を11頭を差し出す
- 上に相当する金額を差し出す
ということ。
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お金の概念がなかった時代から継承されていて、牛は食料になるし売ることもできる価値のあるものという認識で、『娘とそれなりに対価』になるものとして挙げられているのだと想像することができます。
