JICAのボランティアプログラムである青年海外協力隊(JOCV:Japan Overseas Cooperation Volunteer)は、120以上の職種があり、大きく9つの分野に分けられています。
よく混同している方がいますが、「海外青年協力隊」ではなく、正しくは「青年海外協力隊」です。
応募は、職種を元に要請を探すことになるので、応募する第一歩は自分の経験に類似する分野・職種を選択することから始まります。
青年海外協力隊は、ご自分の持っている技術・経験を活かし、開発途上国の人々のために活動をします。まずは、あなたのこれまでの経験を思い出してみましょう。仕事、スポーツ、勉強など、青年海外協力隊への参加のヒントは、あなた自身の中にあります。
コミュニティ開発、PCインストラクター、青少年活動、マーケティング等様々な職種があり、一見、「高い専門性や資格、業務経験を持っていないと応募できないのか?」と思ってしますが、全ての職種がそういうわけではありません。
「看護師」や「サッカー」など、資格や一定の経験が必要な職種もありますが、資格や経験がなくても応募・合格できる職種があります。
私の同期にも、「コミュニティ開発の職種で農業の要請内容なんだけど、今までに農業の勉強したこととか、もちろん経験もないんだが、、」という人は少なからずいました。
合格をもらってもそういった心配することはありません。活動のための基礎的な技術習得を目的として技術補完研修(職種による)、派遣前訓練がJICAによって用意されています。
本記事では、青年海外協力隊の職種の中で、資格や社会人経験がなくても応募できる職種にを紹介していきます。
【青年海外協力隊】特定の資格や実務経験がなくても応募できる職種
コミュニティ開発
青年海外協力隊といったこの職種!というイメージがあります。
略して「コミ開」。かつては、「村落開発普及員」と呼ばれていました。
コミュニティ開発は、地域に住む人々とともに、住民が望む生活向上や地域の活性化に寄与することを目的としています。
地域においてフィールドワークを行ったり、住民参加型のワークショップを企画・運営して、地域の状況や住民のニーズを把握することが出発点となります。次に、研修やセミナーを実施することによって、住民たち自身が地域の資源やさまざまな課題に気づき、話し合いを通して解決策を探していくことが重要となります。
らに、実現可能なプロジェクトを計画・実践し、地域にふさわしい事業と協力支援活動の展望を示すことも活動の一つです。
コミュニティ開発の隊員には、地域調査能力、課題発見力、企画立案力、業務調整能力、コミュニケーション能力などが求められます。

青少年活動
コミュニティ開発とおなじように、青少年活動の活動内容も要請の内容によって多種多様です。
パソコンを扱う要請も増えており、コンピュータ技術、PCインストラクターと同じ技術補完研修に参加する隊員もいます。
青少年期は個人にとってかけがえのない人生の一部であり、人格の基礎が形成され大人となるための準備期間として、人生全体の幸せを左右するほどに重要な時期です。
同時に、成長していくうえで家族や社会の支援が欠かせない時期でもあるため、先進諸国ではその健全な育成のために大人とは異なる特別の配慮を行ってきています。
しかし、開発途上国においてはその重要性に対する理解が浸透していないことから、次代の担い手となる貴重な存在である青少年の健全な育成を支援することが、開発途上国の社会経済の発展のために重要と考えてボランティアを派遣しています。

PCインストラクター
小学校や中・高等学校、職業訓練学校でMicrosoft Officeの使い方であったり、基礎的なICT技術・知識を指導することが求められます。
要請によっては社会人経験は問われますが、プログラミングやネットワークの経験がなくても、「事務員として仕事で日常的にパソコンを使っていた」程度でも合格することができます。
教員等のインストラクター経験があれば、なお良いと思いますが決して必須ではありません。
要請が多い割りに応募倍率が低く、合格しやすい職種の一つといわれています。
PC インストラクターは、主に PC 教師として、小中高等学校、教員養成校、職業訓練校等の教育機関をはじめ、官公庁や障がい者支援施設等に派遣され、現地の人と共に活動を行います。
授業の内容は、パソコンの基本操作からパワーポイントの作成、写真の加工などが主なものですが、現地の人向けにわかりやすいカリキュラムや教材を作成するなどの創意工夫が求められます。
また、要請の中には、PC 授業や同僚教師への指導だけではなく、学校内の手書きの書類のデータ化、コンピュータルーム管理や、簡単な LAN 環境の整備を求められる場合もあります。

環境教育
コミュニティ開発と同じように活動の内容は多岐に渡りますが、選考の段階で環境について何か特定の経験や知識が求められるわけではありません。
環境教育の活動には、大きくわけて、ブラウン系(廃棄物や衛生に関する活動)とグリーン系(自然関連の活動)があります。
その内容は、対象者への直接的な啓発活動、プログラム開発や指導者層へのトレーニング、環境啓発キャンペーン等の企画・運営、組織作りや、現状を把握するための調査や改善のための仕組みづくり、工コツーリズム・コミュニティツーリズムへの提案など多様です。
自治体や行政機関、自然公園等に配属される場合が多く、地域のニーズにあわせた活動を行忽うことが求められています。環境教育隊員として派遣されるためには、環境に関する高度な専門知識よりは、任地での課題を明らかにし、それをわかりやすく魅力的な啓発活動につなげ、協働しなが5活動を作り上げる力が求められます。

感染症・エイズ対策
JICAのページによると、教員免許、看護師、薬剤師、臨床検査技師等が役立つ資格としてあげられていますが、必ずしもそれらの資格が必須というわけではありません。
HIV/エイズを含むマラリア、フィラリア症、シャーガス病、結核、ポリオなどの各種感染症の感染防止や撲滅に向けた活動を行います。
たとえば…
• 治療薬の配布や感染予防具、ワクチンの普及
• 啓発キャンペーン等の企画、運営、組織作りや運営管理に対するアドバイス
• 現状を把握するための調査やデータ分析
• HIV感染予防、エイズ発症予防のための啓発・教育活動
• HIV/エイズの正しい知識、技術、行動を共有するための
• ピア・エデュケーション(仲間教育)の推進

その他応募しやすい職種
学位が求められる要請もありますが、要請によって求められない職種もあります。
- 野菜栽培
- マーケティング
- 小学校教諭
- 家政・生活改善
- コンピュータ技術
理系大卒の学位(一部短大)があれば、以下の職種も応募することができます。
- 数学教育
- 理科教育
高卒でも青年海外協力隊になることはできる
要請内容をみると「大学卒業以上」「短大卒業以上」の条件が定められていることが多いですが、高卒でも要件を満たしていれば応募できる要請もあります。
実際に私の同期隊員にも高卒の隊員はいました。
【参考】青年海外協力隊 全職種の職種別合格倍率
青年海外協力隊の応募・選考は、年度内に春募集と秋募集にわかれておこなわれています。
直近の選考結果から全職種の合格倍率を分析しましたので、応募する際の参考にしてみてください。(データを処理するのはなかなか大変でした..)

まとめ
資格や社会人経験がなくても合格できる職種を紹介しました。
資格や経験がなくても、書類選考や面接で「自分の熱意とやる気をしっかりと伝えること」が合格への近道だと思います。

逆に資格や経験があれば、低い倍率で有利に受験することができます。
JICAのホームページ(職種別一覧)で要請内容ごとに必要な資格や経験が書かれているので、一度目を通してみることをお勧めします。