青年海外協力隊として南アフリカ共和国で活動している、きたむ(wakajps)です。
私が配属されているNGOでは、事業のひとつとして、マイクロファイナンス(マイクロクレジット)をおこなっています。
マイクロファイナンスはグラミンバンクを模倣しておこなっているのですが、簡単にいえば、以下のような特徴を持った小規模ローンの仕組みです。
- 無担保とするかわりに、グループでの連帯責任制をとる
- 定期的なミーティング(週1回など)
- 就労支援を目的とした研修をおこなう
どうして銀行口座の開設が必要なのか?
マイクロファイナンスは、単にお金を貸し出すためではなく、借りた人が自立してビジネスを作ること、あるいは家計を管理して生活を安定させることも、目的として含まれています。
基本的にお金の管理は、現金で家のどこかに隠しておく程度。村の人々にとって『銀行』という存在は、遠い存在となっています。
私の配属されている組織でのマイクロファイナンスは、現金での受け渡しは一切行っていません。銀行を経由してすべての取引きがおこなわれています。これは記帳されていくことにより、『自分の経済状況を適切に管理できるようにする』ことを目的としています。
南アフリカの銀行口座開設のフローとは?

日本であれば、口座を開設するために、銀行の窓口で手続きをおこないますよね。今ではネットでの口座開設も主流になってきましたが。
なんと、南アフリカでは、バンカー(銀行員)が顧客のところまで出向き口座開設のための手続きをおこなってくれます!
今回は、バンカーと一緒に銀行口座を持っていない村人がいる二つの集落に向いました。
コミュニティーホールに村人を集める

その集落で口座開設をおこないたい村人をコミュニティホールに呼び集めます。
写真は、私の同僚から村人たちに今日おこなうことを説明している風景です。説明は、ズールー語でおこなわれています。
必要な書類をバンカーに提出する

必要な書類は、以下のとおり。このあたりは日本と変わりませんね。当然ながら、南アフリカでは印鑑を使う文化はないので、署名な必要が書類にはサインを書いて済ませます。
- 南アフリカ国民証明書(ID)
- 住居証明書(Proof of residence)
- デポジット(20ランドほど)
バンカーがアプリを使って支店に必要書類を提出する

この手続きが私にとって一番の驚きでした。
アフリカをイメージすると、少しアナログなやり方をイメージしてしまうかもしれませんが、バンカーは携帯にインストールされたアプリを使って提出された書類をスキャンしていきます。
スキャンされた書類は、そのまま支店に送信される仕組み。
もちろん提出された写しの原本も、そのまま回収されていきます。
キャッシュカードの交付
一通り上記の手続きが終わると、手続きをおこなったその日のうちにキャッシュカードが交付されます。
『銀行口座をはじめて開設したよ!』の記念撮影
今回、銀行口座を開設した多くの女性は40代。その全員が銀行口座をはじめてつくりました。
ということで・・・!
交付されたばかりのカードを片手に記念撮影!

さいごに
以上、南アフリカ共和国の田舎における銀行口座開設のフローをご紹介しました。
まとめると以下の3つの気づきがありました。
- 銀行の手続きがとてもスマート
- 農村地域の多くの女性が銀行口座を持っていない
- 自立して家計、ビジネスの管理ができるように
マイクロファイナンスというと『経済的に貧しい方たちにお金を貸し出す』というイメージが強いですが、私の組織で大事にしているのは、『自立する』ということ。
自立することと、銀行の口座開設は必ずしも結びつくわけではありませんが、お金の支出の管理には役に立ちますよね。
南アフリカ共和国という国が国民の収入や経済状況を把握するために、必要な情報にもなり得ます。
おしまい
