実際に、青年海外協力隊として参加している自分が、青年海外協力隊参加にあたって必要な手続き(保険・年金・住民税の手続き)を備忘録がてら、書き出していきます。
「青年海外協力隊に参加にあたってどんな手続きをしたらいいんだろう」「そもそも社会保険などの仕組みがわかっていない」「JICAでどのような制度が用意されているのか不明」といった方の参考になると思います。
記事の内容は、主に『退職して青年海外協力隊に参加する方向け』の内容です。現職参加の方は、手続きの内容が異なりますのでご留意ください。
青年海外協力隊 退職から任国出発までの大まかなスケジュール

時期 | すること |
8月中旬 | 青年海外協力隊(候補生)合格 |
11月末日 | 現職退職日 |
12月上旬~下旬 | 技術補完研修 |
1月上旬~3月上旬 | 派遣前訓練(二本松訓練所入所) |
3月中 | 自治体への表敬訪問 |
3月下旬 | 任国へ出発 |
隊次や技術補完研修の有無でスケジュールは異なります。手続きを整理するために、自分自身のスケジュールを一度書き出してみることをおすすめします。
青年海外協力隊の健康保険の取り扱いと手続き
企業健康保険に加入していた場合、基本的に国民健康保険に切り替える必要があります。
JICAから届いた書類を見ると、但し書きで、現職の健康保険組合で任意継続加入できる場合もあるので、事業主に要確認とのこと。
国民健康保険に加入するか、これまでの企業健康保険を任意継続するか、どちらかを選択することになります。
先日から職場から受け取った退職関係書類を見てみると、任意継続の案内がはいっており、よくよく見てみると国民健康保険より負担少なく加入ができそうな様子なので、退職後も会社の健康保険組合に引き続き加入することにしました。
継続の意思を確認する書類と付加金振込先の書類に記載をして、健保組合に提出するだけで、手続きは完了。
私の加入していた健康保険は、年度単位での更新だったため、11月末で退職したあとは、翌年の3月分までの健康保険料を納めました。4月以降は、JICAの健康保険(自動加入)を適用することに。
JICAの健康保険の内容については、訓練所で案内があるほか、配付されるボランティアハンドブックにも詳しく記載されています。
継続加入できるかどうかは、それぞれの会社や健康保険組合によるので、必要に応じて会社へ確認しましょう。
雇用保険(失業給付 受給期間延長の手続き)
雇用保険による失業保険の受給か、JICAから支給される国内手当(帰国初動生活手当、帰国社会復帰手当)のどちらかを選ぶ必要があります。
両方の受給はできないため、仮に帰国後すぐに就職できる場合や進学する場合などは、失業保険を受給できない可能性があり、私は国内手当を選ぶことにしました。
無職
(雇用保険非受給者)無職(雇用保険受給者)
及び無給の現職参加者※1本邦支出対応手当
(毎月国内口座に振り込み)40,000円/月×訓練期間 40,000円/月×訓練期間 55,000円/月×派遣期間 55,000円/月×派遣期間 帰国初動生活手当
(帰国時一括支給)10,000円/月×派遣期間 10,000円/月×派遣期間 帰国社会復帰手当※2
(帰国時一括支給)20,000円/月×派遣期間 不支給 ※1 有給の現職参加者に対しては支給しません
※2 帰国社会復帰手当は、雇用保険の受給延長を行う者に対しては支給しません
厚生労働省のWebサイトに失業保険手当の支給額の算出方法が記載されているので、そちらで一度計算して、国内手当の額と比較して検討してみると良いでしょう。
JICAからの案内は、以下のとおり。
雇用保険加入者が退職して参加する場合、離職後から参加前の指定された期間中に雇用保険の受給期間の延長手続きを行うことにより、帰国後に雇用保険の受給が可能になります。 ただし、離職日のタイミング等により給付制限期間(3ヶ月間)が加えられる場合もありますので、留意が必要です。特に離職日(退職日)が技術補完研修開始日又は派遣前訓練開始日から一ヶ月以上前に設定されていると、退職理由が「青年海外協力隊など公的機関が行う海外技術指導による海外派遣」と認められないケースがあるようですので、離職日の設定については特にご注意ください。
ハローワークで行っている「教育訓練給付制度」についても適用対象期間を延長することができます。なお、雇用保険の手続きはボランティアご自身が行うことになっております。

青年海外協力隊の国民年金の取り扱い
在職中は厚生年金に加入していたので、退職後は国民年金に加入することになります。
JICAからの案内は、以下のとおり。
派遣中のボランティアは「海外居住者」扱いとなり、任意で国民年金に加入することになります。未加入であると、当該未加入期間は、年金額の算出の際に除外され、年金が減額されたり、派遣中の事故に起因する後遺症について障害基礎年金が受け取れないなどの不利益が生じる場合がありますので、JICAは、出発前に加入手続きを行うことを強く勧奨しています。なお、手続きはボランティアご自身が行なうことになっておりますので、詳細はお近くの年金事務所などにご確認ください。
基本的には、退職したタイミングで会社から役所・年金事務所に厚生年金資格喪失の通知がいきます。(ただし、自分でおこなう必要がある可能性もあるので、会社に要確認。)
役所から、国民年金に関する手続きの書類が届きます。本来であれば、隙間がないように速やかに役所で手続きする必要があるのだけれど、私はその書類の到着に気付かず(汗)、出発前の三月ぐらいまで寝かせてしまっていました。
最終的には、届いた書類に記入をして、支払方法(クレジットカードor銀行口座)がわかるものを持参して役所で手続きを済ませました。
納付方法は、一か月単位や一年単位等から選べました。
住民税(転出届)
これまでは、給料から天引き(特別徴収)されていました。退職と同時に通常は普通徴収に切り替わります。
青年海外協力隊で海外に派遣される場合は、役所で(派遣国への)転出届をおこなうことになります。
これにより、非居住者扱いとなり、住民税は徴収されない仕組みとなります。
日本学生支援機構(奨学金返済)

日本学生支援機構の公式Webサイトによると、青年海外協力隊として活動している期間について返還期限猶予、または減額返還を申請できます。
必要な書類として、JICAから発行してもらう「派遣証明書」が必要とのこと。
ちなみに私自身は、JICAから日本の口座に本邦支出対応手当が振り込まれることがわかっていたので、協力隊として活動している期間も返済を続けていました。
なかば「青年海外協力隊」が特例のように設定されているようにみえますが、奨学金返還中のひとでも協力体制度に参加しやすい仕組みになっていることがわかりますね。
退職(卒業)する前にクレジットカードを作っておく!
退職するとクレジットカードの新規発行が難しくなってしまう可能性があるため、退職前にクレジットカードを作っておくと良いです。
青年海外協力隊として活動中は、現地生活費として現地の銀行口座にお金が振り込まれますが、それほど多い金額ではありません。
国内旅行や任国外旅行に頻繁にいくと、現地生活費だけではどうしても足りなくなってしまうケースも。(同期隊員に何人もいました)
派遣期間中は、本邦支出対応手当が日本の銀行口座に振り込まれます。ただし、日本の銀行口座から引き出すことは基本的にできません。
>>関連記事:【まとめ】青年海外協力隊の給料と保険/待遇と旅行制度
唯一、日本の銀行口座から現金を引き出す方法は、クレジットカードを使ってATMで国際キャッシングをする方法です。
これは、実際に私も使用しましたが、アフリカの国(南アフリカ、ザンビア、タンザニア、ボツワナ)でも利用することができました。
>>関連記事:アフリカの両替とクレジットカード事情解説【ATMキャッシングが便利】
三井住友VISAカード、エポスカードのような国際キャッシュカード機能がついているクレジットカードを発行しておくことをおすすめします。
国際キャッシュカードでなくても、観光地ではそのままクレジットカード決済ができるので便利です。協力隊派遣終了後も、旅行の際に使用できるので一枚あるととても便利ですね。
加えて、三井住友VISAカード、エポスカードは、海外旅行保険も付帯しています。
万が一、海外旅行中に事件に巻き込まれて傷害を負った場合でも、条件を満たしていれば医療費が給付されるなどの特典があり、メリットが大きいです。単体で海外旅行保険にはいると、数千円~数万円するので、クレジットカードの特典の恩恵は大きいですね。
新卒(学生)で青年海外協力隊として派遣される場合も、卒業した後では、学生向けのクレジットカードが作れなくなってしまう可能性があるので、卒業する前にクレジットカードを作っておくことをおすすめしたいです。
特にエポスカードは年会費無料なので学生(新卒)向きのカードといえるかもしれません。(三井住友VISAカードは、初年度のみ年会費無料)
まとめ
職場や役所での手続き・必要な書類がたくさんあり、さらに同時並行で手続きを進めていく必要があります。
ひとつひとつ必要な手続きを整理して、確実に手続きを進めていくとよいと思います。
その地域の役所によって手続きの方法が異なる可能性があります。自分が手続きをおこなう役所に問い合わせるか、役所HPの内容を確認しましょう!
青年海外協力隊のあれこれ
青年海外協力隊に関する情報(選考~派遣前訓練~活動中のこと)を以下にみやすくまとめてみました。
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