南アフリカ現地NGOで活動している、きたむ(wakajps)です。
ケープタウンの華やかな街並み、ヨハネスブルグの発展した街の様子を見て、「南アフリカはとても発展した国だなぁ」と感想を持つ方は多いのかなと思います。
自分自身も南アフリカにやってきて、はじめはそういった感想を持ちました。また一方で地方での活動をとおして、現実ともいえる面を体験してきました。
南アフリカは先進国?それとも発展途上国?
無理にカテゴライズする必要もないと思いますが、経済的に発展しているとみえる南アフリカの現実、特に貧困層はどの程度いるのか、をデータを用いてみていきたいと思います。
そもそも発展途上国とは?

開発途上国ともいい,人口1人あたりの所得水準が特に低く,第1次産業の比重が高いなど,発展の程度を示すいろいろな指標の水準が低い国をいう。
具体的には開発援助委員会 DACの援助対象となっているアジア,アフリカ,ラテンアメリカなどの諸国。
開発援助委員会(DAC)の援助対象リストにはいっているかどうかが、一つの指標になりそうですね。
そして、開発援助委員会(DAC)の援助対象リストによると、「Upper Middle Income Countries」のカテゴリーに南アフリカ共和国は含まれています。
この定義にしたがえば、「南アフリカは開発途上国である」と言うことができます。
人口の半数以上?南アフリカの貧困層の割合

2006〜2015年の貧困傾向報告書によると、南アフリカの人口の55.5%にあたる3,040万人が貧困状態にあります。
これは、2011年に報告された貧困率53.2%(2730万人)から増加。
ここで指す”貧困”とは、992ランド(≒7,936円)未満で生活をしている人を指します。
南アフリカの最低賃金はR16(128円)/時間と言われているので、その水準より低いレベルで生活している人が多いこともわかります。
都市と地方で格差が生まれる、そして広がる

ケープタウンやヨハネスブルグの大都市の給与水準は、(職種にもよりますが)日本とさほどレベルは変わらず、むしろ日本よりも給与水準が高いケースもあります。
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上で述べたとおり、貧困層が増えているにも関わらず、都市部はさらに発展していく。
この傾向をひとことでいうなら、「格差」。
この格差が南アフリカをさらに苦しめているように思います。南アフリカは、犯罪率の高さや失業率が目立ちますが、この格差による要因は大きいのではと感じます。
『都市と地方の経済的格差』は、都市はほぼ日本と同じくらいの給与水準・物価なのに対して、地方は月数千円の収入で暮らしている人たちがいる、ということ。景色や身だしなみも全然違うので、本当に同じ国なのかとわからなくなるときがある。
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) 2017年10月13日
『都市と地方の経済的格差』は、都市はほぼ日本と同じくらいの給与水準・物価なのに対して、地方は月数千円の収入で暮らしている人たちがいる、ということ。景色や身だしなみも全然違うので、本当に同じ国なのかとわからなくなるときがある。
そして、アフリカで「格差」や「貧困」という言葉を使うと、イメージしてしまうのは黒人のひとたち。
実は南アフリカでは、人口割合の8%は白人が構成しており、その白人の中でも「格差」や「貧困」が生まれ始めています。
こちらの記事(南アフリカ共和国の白人たちの生活の現状・実態は?~中都市編~)にも書いているとおり、私が住んでいる街でも白人のホームレスは頻繁にみかけました。
南アフリカは現実の状態がみえにくい国なのかもしれない

だんだんと南アフリカで過ごす年月が経つうちに、行動範囲を広げていくうちに、一つや二つの都市をみただけでは、南アフリカという国を一概に判断することはできないという思いに近づいてきました。
たしかに華やかな一面を持つ南アフリカですが、上であげたとおり、貧困層の割合は人口の半数を超えます。
南アフリカに訪れる人は観光やビジネス目的で、ほとんどはケープタウンやヨハネスブルグ。
そういった人から聞くのは、「南アフリカは発展していてアフリカとは思えなかった」という声。
そもそもアフリカに対してどんなイメージを持ってるの?と思わざる得ないコメントですが、南アフリカの一部の都市だけをみて判断されてしまうことが、南アフリカにとって良い面であり、悪い面を持ち合わせてしまっていると思います。
少し田舎に目を向ければ、”多くのひとがイメージするであろうアフリカ”が広がっています。
それでも、「南アフリカは発展していてアフリカとは思えなかった」と言えるのか?
そんなコメントに疑義を持ち、この記事を綴りました。
南アフリカの都市部ケープタウン、ヨハネスブルグは、先進国並みに発展しているのは間違いないけれど、人口の半分以上は貧困とたたかっている人々たちなので、南アに来て『南アは発展していてすごかった』の感想で終わってほしくないと思ってる。できれば大半を占める田舎の方も併せて見てもらいたい。
— きたむ@南アフリカ🇿🇦 (@wakajps) 2018年3月6日
南アフリカの都市部ケープタウン、ヨハネスブルグは、先進国並みに発展しているのは間違いないけれど、人口の半分以上は貧困とたたかっている人々たちなので、南アに来て『南アは発展していてすごかった』の感想で終わってほしくないと思ってる。できれば大半を占める田舎の方も併せて見てもらいたい。
以上、きたむ(wakajps)でした。
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