開発途上国には、貧困、飢餓、インフラの未整備、安全な水が確保できない、教育・保健など基本的な社会サービスへのアクセス困難など、様々な問題を抱えながらの生活を強いられている人々が多いのが現状です。
これらの課題には国全体として取り組む必要があると同時に、青年海外協力隊「コミュニティ開発」(旧:村落開発普及員)では、それぞれの地域において各々の状況を踏まえた住民主体による取り組みと役割が求められています。
なお、青年海外協力隊「コミュニティ開発」(旧:村落開発普及員)になるためには、英語力等の選考(書類、面接)に合格する必要があります。
青年海外協力隊 職種「コミュニティ開発」とは
「コミュニティ開発」の活動(仕事)内容
地域に住む人々とともに、住民が望む生活向上や地域の活性化に寄与することを目的としています。地域においてフィールドワーク(調査)を行ったり、住民参加型のワークショップを企画・運営するなどして、地域の状況や住民のニーズを把握することが出発点となります。
次に、研修やセミナーの実施をしながら、住民たち自身が地域の資源や様々な課題に気づき、話し合いを通して解決策を探していくことが重要となります。さらに、実現可能なプロジェクトを計画・実践し、地域にふさわしい事業と協力支援活動の展望を示すことも活動の一つとなります。
コミュニティ開発隊員には何が必要?
活動の性質上、「看護師」や「自動車整備士」のように特定の資格や経験は不要ですが、地域住民との対話を通して住民とともに地域の課題に取り組むことから、以下のような能力が求められます。
【コミュニティ開発に求められる”5C”】
◆Commitment(モノ・コト・ヒトに関わろうとする当事者意識)
◆Communication(意思疎通・意思伝達能力)
◆Comprehension
(社会文化状況・人々の思い・社会課題などを理解する力)
◆Coordination
(ヒトとヒト、ヒトと組織、ヒトと技術をつなぎ、調和を生み出す力)
◆Creation(新しいアイデア・企画・解決策を生み出す力)
「コミュニティ開発」の要請(仕事)内容の例
【配属先概要】
1)受入省庁名(日本語)
地方自治省
2)配属先名(日本語)
ゴンバ県庁
3)任地( ゴンバ県チェゴンザ ) JICA事務所の所在地( カンパラ )
任地からJICA事務所までの交通手段、所要時間( バス で 約 3.5 時間 )
4)配属先の規模・事業内容
ゴンバ県はウガンダ中央部に位置しており、人口は約20万人である。配属先であるゴンバ県水事務所は県内において、衛生的で安全な水の供給ため、井戸等の水源設備の建設やモニタリング、その修繕に関する資金面および技術的支援を行っている。井戸の維持管理については国の方針に基づき、住民で組織される水管理組合が実施することが定められており、配属先は住民たち自身で井戸の維持管理が行えるような体制作りを図っている。
【要請概要】
1)要請理由・背景
ゴンバ県内には故障したまま放置されている井戸が多く存在している。本来は住民たちで組織される水管理組合が、井戸修繕や維持管理のために、料金徴収・貯蓄等を行うこととなっているが、組合は十分に機能していない。また住民の知識不足により、濁水が飲料水や生活水として利用され、コレラなどの水因性疾患の要因ともなっている。そのため、県水事務所は、住民に対する衛生啓発や水管理組合の活性化に重点を置いており、村を巡回し、地域住民に寄り添いながら、これらの活動に取組むことができる青年海外協力隊(JV)の要請がなされた。
本案件はグループ型派遣であり、他県で活動する同職種の青年海外協力隊員と、情報共有や意見交換を通して、各自の活動改善や共同ワークショップ等の開催も期待される。
2)予定されている活動内容(最終的な活動内容は、赴任後に配属先と協議し決定します)
1. 以下の活動を通して、水管理組合(村の住民組織)の活性化や給水施設の維持管理促進を行う。
・ 水事務所職員及び井戸修理技師から情報を得ながら、村の給水施設の状態や水管理組合の運営課題について調査する。
・ 地域・村で展開されている住民の活動を調査検証する。そのうえで、収入向上や生活改善を通して住民の組織化を促し、給水施設の維持管理に対する意識を高められるようにする。
2. 住民の衛生に関する意識や行動の実情把握に努めたうえで、住民に対する衛生啓発活動や生活改善のための 取り組みを企画、実施する。
3)ボランティアが使用する機材の機種名・型式、設備等
特になし
4)配属先同僚及び活動対象者
・県の水事務所職員 1名
・井戸修理技術師、水管理組合(村の住民組織)
水源施設の状態や水管理組合の運営状況を調査した上で、支援を行う組合や衛生啓発活動の対象を定める。
5)活動使用言語
英語
6)生活使用言語
その他
JICAホームページ要請・職種情報(コミュニティ開発)から現在募集中の要請の一覧を見ることができます。
「コミュニティ開発」の活動(仕事)内容の動画
青年海外協力隊「コミュニティ開発」職種の合格倍率の推移
2016秋 | 2016春 | 2016秋 | 2017春 | 平均 | |
コミュニティ開発 | 2,96 | 2,61 | 2,87 | 2,19 | 2,66 |
人気職種のコミュニティ開発の近年の合格倍率の平均は2.66でした。
平均2.66人に一人が合格しているという計算になりますね。
「コミュニティ開発」の給料と待遇
青年海外協力隊は、『ボランティア=無償で働くの?』といったイメージから、私もよく友達からその給料や待遇のことについてよく聞かれます。
厳密には、『給料』としてではなく『手当』として、派遣前から任期終了の期間について一定の金額が支給されることになります。
なお、職種には関係なく、派遣される国によって支給される額が異なります。
以下の記事で、『青年海外協力隊の給料と保険 / その他待遇と諸制度』について、詳しく紹介しています。
